35の最強Tips完全版
なぜCLAUDE.mdを最初に書くべきなのか。どのフラグを付けないと本番運用で詰まるのか。Claude Codeの作者Boris Chernyが1月・1月末・2月・3月・4月と複数回のXスレッドで公開したTips・隠し機能を、Subagents・Slack連携・自己検証ワークフローまで含めて日本語で完全網羅。ほとんどのユーザーは機能の20%しか使っていない。
1. Boris Chernyとは——Claude Codeの生みの親
Boris Cherny(@bcherny)はAnthropicのエンジニアであり、Claude Codeの創設者・コアリードだ。2026年1月・1月末・2月・3月末・4月と複数回にわたってXでTipsスレッドを公開し、自身とチームの日常ワークフローをそのまま公開してきた。注目すべきは「彼のセットアップは驚くほどシンプル(surprisingly vanilla)」という点だ——つまり派手なカスタマイズより正しい使い方が重要というメッセージでもある。Borisは「Claude Codeの正しい使い方は一つではない」とも繰り返し語っており、本記事のTipsも唯一解ではなく実践のヒント集として読んでほしい。
Boris本人が常時並列実行するセッション数
Boris X thread 2026年1月
2026年初頭のGitHub公開コミットへの貢献率
The Neuron 2026年3月
2026年に入ってからBorisが公開したTipsスレッドの回数
X @bcherny 1〜4月
ほとんどのユーザーが使っている機能の割合
DEV Community
- CLAUDE.mdをなぜ最初に書くべきか——「間違えたらCLAUDE.mdを更新する」という複利の仕組み
- なぜ多くの人が性能を14%捨てているのか——Thinking Modeを使わないことのコスト
- /loop・/schedule・Hooks——「眠っている間もClaudeが働く」設計
- /teleport・/btw・/batch・–bare——ほとんど知られていない隠し機能15選
- Subagents・Slack連携・–permission-mode=dontAsk——Borisが「最重要」と語る本番運用の勘所
- iOSアプリ+Dispatch——朝のスマホ操作でPCいらずで作業を進める方法
- マーケター・SEO担当者への応用——エンジニアでなくても使えるTipsを厳選
2. 【基本編】CLAUDE.md・セッション管理・モデル選択
間違えたら必ずCLAUDE.mdを更新する——「複利エンジニアリング」
最重要
@.claudeをタグすると、学びが自動でCLAUDE.mdに追記される仕組みも作っている。ライターのDan Shipperが提唱した「Compounding Engineering(複利エンジニアリング)」という考え方に近く、積み重ねるほど間違い率が目に見えて下がる。CLAUDE.mdは3層構造で管理し、定期的に「容赦なく」削る
基本
~/.claude/CLAUDE.md)——自分の個人設定・好みのコーディングスタイル。②プロジェクト層(/プロジェクトルート/CLAUDE.md)——チーム共通ルール・コードスタイル・禁止ファイル。③ディレクトリ層(サブフォルダのCLAUDE.md)——特定機能の詳細ルール。すべてGitにチェックインしてチームのAI共通ルールブックとして管理するのがBorisの設計思想。ただし追記するだけでは肥大化してコンテキストを圧迫するため、「同じ間違いを2回したら追記し、不要になったルールは容赦なく削除する」という運用も同時に徹底している。Thinking Modeを使う——「遅いが結局速い」
重要
/clearと/compactを使い分ける
基本
/clearは無関係なタスク間で必ず使う。長いセッションに無関係な情報が蓄積すると品質が下がる。一方/compactは重要なコンテキストだけを保持したい時に使う。/compact Focus on the API changesのように指示付きでコンパクションすると、重要な文脈だけを圧縮して残せる。この使い分けがコンテキスト品質を維持するカギ。日常的に使うワークフローはスラッシュコマンド化してGit管理する
.claude/commands/に置いてGitにチェックインし、チーム全員・そしてClaude自身も呼び出せるようにする。最も使用頻度が高いのは/commit-push-prで、1日に何十回も実行しているという。「1日1回以上やることは、ほぼコストゼロでSkillやコマンドにできる」というのがBorisの持論だ。/plan modeで実装前に計画を確認する
基本
/planと打つと、実装に入る前にClaudeが計画を提示してくれる。調査・計画・実装をはっきり分けるだけで誤実装や手戻りが劇的に減るため、Borisは「ほぼ常にPlan Modeを使う」と繰り返し語っている。大規模なリファクタリングや設計変更を含むタスクでは「まず/planで方針確認→承認→実装」の流れが標準になっている。3. 【並列化編】5〜10セッション同時稼働の設計
Borisの最も印象的な習慣が「ターミナルで5つ・Webで5〜10セッションを常時並列実行」だ。タブに1〜5の番号を振り、システム通知でどのセッションが入力待ちか即座に把握する。
git Worktreeで並列セッションのコード競合を防ぐ
重要
claude -wまたはclaude --worktreeで独立したgitワークツリーにClaudeを起動できる。各エージェントが独立したブランチで動くため、複数セッションが同じリポジトリで干渉しない。Borisのチームは個別のgit checkoutではなくWorktreeを標準運用にしており、同じリポジトリ配下で複数ブランチを同時にチェックアウトできる点が並列運用の前提インフラとなっている。--tmuxフラグで独自のTmuxセッションにも起動できる。/batchで大規模タスクを一気に並列化する
NEW
/batchはBorisが「最強の機能の一つ」と語る新機能。Claudeがインタビュー形式でタスクを理解し、必要なだけの数のWorktreeエージェントに作業を分散する(数十・数百・数千のエージェントまでスケール可能)。大規模なコードマイグレーション・コンテンツの大量生成・データ変換など「並列化できるタスク」すべてに適用できる。各Worktreeエージェントは独立したコードベースのコピー上で作業する。AIの「待ち時間」を並列で埋める——ボトルネックの本質
考え方
4. 【自動化編】/loop・/schedule・Hooks
Borisのワークフローで最も衝撃的なのが「眠っている間もClaudeが働き続ける」設計だ。/loopと/scheduleを組み合わせることで、PR管理・Slack通知・コードレビューが自律的に回り続ける。
/loopで繰り返しタスクを永続化する
重要
/loop 5m /babysit — PRのコードレビューコメントを5分ごとに自動対応・自動リベース/loop 30m /slack-feedback — 30分ごとにSlackフィードバックに基づいてPRを自動作成/loop 1h /pr-pruner — 1時間ごとに古くなった不要なPRをクローズ/loop /post-merge-sweeper — マージ後に見落としたコードレビューコメントを自動処理
これらが常時稼働しているため、Borisは「コーディングしていない時はDispatching(遠隔操作)している」と語る。ワークフローをSkill化してから/loopに乗せる組み合わせが特に強力だと本人も強調している。
/scheduleで最大1週間先のタスクを予約する
/scheduleで特定の時刻・曜日・間隔でタスクを自動実行できる。最大1週間先まで設定可能。「朝7時に昨日のGitHub issueをサマリーしてSlackに投稿」「毎週月曜にテスト結果をレポート」といった定期タスクをコードなしで設定できる。エンジニア以外でも使えるスケジューラー。Hooksでワークフローの特定タイミングに処理を挟む
上級
SessionStart — 起動時に文脈を動的にロード(プロジェクトの最新状況を自動取得)PreToolUse — モデルが実行するすべてのBashコマンドをログ記録PermissionRequest — 権限確認プロンプトをWhatsAppに転送して承認/拒否(離席中でも判断できる)Stop — Claudeが止まったら自動で再起動の指示を送る
5. 【隠し機能編】/teleport・/btw・/batch・–bare
/teleportでセッションをデバイス間で移動する
claude --teleportまたは/teleportでクラウドセッションをローカルターミナルに引き寄せられる。逆に/remote-controlでローカルで動いているセッションをスマホ・Web経由で遠隔操作できる。Borisは「/config で全セッションのRemote Controlをデフォルト有効」に設定している。通勤中にスマホでセッションを開始→帰宅後PCで続きをteleportで引き取る、という継ぎ目のないワークフローが実現。/btwでメインの作業を中断せずに別のことを頼む
/btw(By The Way)は、メインタスクを進めながら横道にそれることなく別の指示を渡せる機能。「メインの実装をしながら、/btw このコメントも直しておいて」という感覚。コンテキストを汚さずにサブタスクを処理できる隠しコマンド。–bareフラグで非インタラクティブ実行を最適化する
claude -p(SDK経由の非インタラクティブ実行)のデフォルトは、ローカルのCLAUDE.md・設定・MCPを自動検索する。しかしBoris本人が「これは設計ミスだった」と認めている。非インタラクティブ利用では--bareフラグで無効化し、--system-prompt・--mcp-config・--settingsを明示的に指定するべき。将来バージョンではデフォルトが変わる予定。–add-dirで複数リポジトリを横断する
--add-dir(または/add-dir)で他のリポジトリを追加できる。フロントエンドとバックエンドが別リポジトリでもClaudeが同時に参照して実装できる。モノレポでないプロジェクトでの開発効率が大幅に上がる。/voiceで音声入力を使う
/voiceコマンドで音声入力が使える。長い指示をタイピングする代わりに話しかけるだけでClaudeに指示できる。特にスマホでのモバイルセッション時に威力を発揮する。コンテキストを口頭で説明しながら作業できるため、複雑な要件の伝達が効率化する。Chrome拡張でブラウザとClaudeを統合する
6. 【モバイル編】iOSアプリ・Dispatch・どこでも作業
「私はコーディングしていない時はDispatching(遠隔操作)している」——Boris Cherny
- 朝、スマホのClaude iOSアプリでセッションを起動→後で確認できるようにタスクを投げておく
- 通勤中にスマホでPRをレビュー・承認。PCを開かずに作業が前進する
/remote-controlでPC上で動いているセッションをスマホから操作- WhatsApp経由で権限確認プロンプトが届き、スマホで承認/拒否できる(Hooks設定)
- Dispatch(Cowork)でメール・Slack・ファイル管理をPCなしで遂行
iOSアプリのCodeタブ——スマホでフルセッション
Dispatch(Cowork)でPCいらずの遠隔操作
NEW
7. 【精度向上編】出力品質を上げる実践Tips
最も重要なTips——「Claudeに出力を自分で検証させる」
最重要
auto-compact設定でコンテキストを自動管理する
NEW
/compactを実行するauto-compact設定。長時間セッションでコンテキストが溢れてパフォーマンスが落ちる問題を自動解決する。手動でコンテキストを管理する手間が省け、並列セッション運用時の品質が安定する。/rewindで会話を巻き戻す
/rewindで会話履歴を特定のポイントまで巻き戻せる。「この方向性は違った」と気づいた時に、分岐点まで戻って別のアプローチを試せる。コンテキストを汚さずに方向修正できるため、試行錯誤のコストが大幅に下がる。Skills(スキル)でワークフローを再利用する
重要
/スキル名で呼び出すだけで実行できる。Skills+/loopの組み合わせが最も強力で、定型タスクの完全自動化が実現する。/fewer-permsで権限を絞って安全に実行する
セキュリティ
/fewer-permsモードでClaudeの実行権限を制限できる。本番環境やセキュリティが重要な場面では、Claudeに最小限の権限だけ与えることでリスクを低減。新しいプロジェクトや慣れないコードベースで試す際は、まずfewer-permsから始めることが推奨されている。8. 【上級運用編】Subagents・Slack連携・自己検証を極める
Subagentsを「よくやるPR作業の自動化」として設計する
重要
.claude/agents/に常備している例:code-simplifier——Claudeの実装後にコードを整理・簡潔化する。verify-app——エンドツーエンドテストの詳細手順を持つ検証専用エージェント。メインエージェントのコンテキストを汚さずに個別タスクを任せられるのが最大のメリットだ。「use subagents」で計算リソースを一気に増やす
Slack MCP連携でバグ修正・障害対応を丸投げする
実務
SQLを書かずにbq CLIをClaudeに操作させる
bqCLI(BigQueryコマンドラインツール)を操作させ、データ集計・分析クエリの組み立てをすべて任せている。定型的なデータ抽出作業をエンジニア以外でも依頼できる好例だ。–permission-mode=dontAskが「最も重要なフラグ」
最重要
--permission-mode=dontAskを付けることで権限確認プロンプトにブロックされずにClaudeを走らせ続けられる。Borisはこれを「Claude Codeから良い結果を得るために最も重要なこと」と呼んでいる。ただしこれは本番環境やホストマシン上でそのまま使うものではなく、隔離されたサンドボックス内での運用が前提。無制限に実行するのではなく、まず安全な環境を用意した上で使うフラグだと理解しておきたい。PostToolUseフックで自動フォーマットの「最後の10%」を仕上げる
上級
PostToolUseフックを使い、Claudeがファイルを書き込み・編集するたびに自動でコードフォーマッタを走らせている。Claude自身も9割程度は正しいフォーマットで書いてくるが、残り1割の揺れをフックが機械的に補正することで、後工程のCI失敗を未然に防いでいる。人間のレビューコストを減らす典型的な自動化例だ。プロジェクトごとに「ノートディレクトリ」を持たせ、PRのたびに更新させる
Claudeに「証明させる」——反論・比較で検証精度を上げる
考え方
長時間タスクは「検証エージェント」+コミュニティプラグインで仕上げる
NEW
settings.jsonでチーム全体の権限設定をGit管理する
チーム運用
settings.jsonに書いてバージョン管理すると、チーム全員が同じClaude Code体験を得られる。よく使う安全なコマンドを/permissionsで事前許可しておけば、--dangerously-skip-permissionsのような強い権限に頼らずに、割り込みを減らしつつガードレールを保てる。個人の勘に依存しない、再現性のあるチーム運用の土台になる。9. LIF Tech実務視点——マーケ・SEOへの応用
Boris TipsはエンジニアのためのTipsに見えて、実はマーケター・SEO担当者・コンサルタントにも直接使える内容が多い。
- CLAUDE.mdにLIF Tech・クライアント情報を記述——すらら・ウェルベストのターゲット・トーン・禁止表現を記録して毎回の指示を短縮する
- /batch+Worktreeで記事10本を並列制作——deai-making.jp・kirameki-kids.jpの大量記事制作に直結。/batchがインタビューして各記事タスクを自動分配
- /loop /seo-check——公開済み記事のGSC順位低下を定期監視して改善タスクを自動生成するループを設計できる
- Subagentsで「校正専用」「ファクトチェック専用」の役割分担——記事本文を書くエージェントと、薬機法・景表法のチェックだけを行うエージェントを分けてコンテキストを汚さない
- Skillsに「LIF Tech記事テンプレート」を登録——h2/h3構成・CSS・FAQ設計の全ルールをSKILL.mdに書いて/liftechで呼び出す
- スマホDispatching——移動中にiOSアプリからSEO分析の指示を出して、帰宅後にPC上で成果物を確認するフロー
10. よくある質問
「ほとんどのユーザーは機能の20%しか使っていない」——Borisが公開したこの数字は謙遜ではない。CLAUDE.mdの更新習慣・Thinking Modeの選択・Worktreeの活用に加えて、Subagentsの設計や–permission-mode=dontAskのような本番運用の勘所まで押さえれば、今日から体感が変わる。LIF Techではこの領域の実務事例を今後も発信していきます。
