公開日:2026年8月 / 著者:LIF Tech編集部
2026年6月30日から7月1日、ベルリンのMesse BerlinでGITEX AI EUROPE 2026が開催された。ドバイ発の巨大テックイベント「GITEX」の欧州版で、2025年に始まって2回目になる。
本記事は、LIF Tech編集部が初日(6月30日)に会場を歩いて取材した記録である。撮影した写真は234枚。掲載する社名・ブース番号・キャッチコピーは、すべてその写真から直接読み取ったものだ。
結論から書く。このイベントを貫いていたキーワードはAIそのものではない。「Digital Sovereignty(デジタル主権)」である。これは筆者の解釈ではなく、主催者が報道関係者向け資料に明記した公式の大会テーマだ。そして会場では、それが政策文書の言葉ではなくブースの看板コピーになっていた。

目次
- GITEX AI EUROPEとは何か——数字で見る2026年
- スポンサー階層が示す「本当の力関係」
- 主権クラウド——今回いちばん厚かった層
- 規制の名前が、そのまま製品の見出しになっている
- ディープテック・量子——EUが自らブースを構える
- 「エージェント」がインフラ側の語彙になった
- 国パビリオン29——そして日本は2026年が「初」だった
- スタートアップ区画の設計思想
- 数字で見る欧州AIの現実
- 実際に歩いて分かった、このイベントの活かし方
- 日本企業への示唆
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
1. GITEX AI EUROPEとは何か——数字で見る2026年
GITEXは、ドバイ・ワールド・トレード・センター系の運営会社「inD」が展開するテックイベントブランドだ。本家のGITEX GLOBAL(ドバイ)の派生として、EUROPE(ベルリン)、AI LATAM(サンパウロ)、AI INDIA(ベンガルール)などがある。
主催者プレスリリース(2026年6月10日付)に基づく確定値は以下のとおり。
| 項目 | 公式発表値 |
|---|---|
| 会期 | 2026年6月30日〜7月1日(2日間) |
| 会場 | Messe Berlin(South Entrance) |
| 参加国 | 80か国超 |
| 出展企業・スタートアップ | 950社 |
| 参加投資家 | 600名超(運用資産総額 1兆米ドル超) |
| 登壇者 | 150名超 |
| カンファレンス | 3ステージ・70時間超 |
| 対象市場 | 欧州テック市場は2026年に €1.5兆 超の見通し |
数値の見方について。
主催者のプレスキットは、4〜5月版が「800社/投資家500/登壇120」、6月版が「950社/投資家600/登壇150」となっている。準備期間を通じて規模が上方修正され続けたということで、出展・投資家の集まりが想定を上回ったことを示している。本記事は最新の6月版を採用した。海外イベントの規模を検討材料にするときは、最新の一次資料に当たるのが確実だ。
会場は3ホール構成だった。
- Hall 1.2:AWS・Cloudflare・HPE・TP-Linkなど大手ベンダーとクラウド/インフラ
- Hall 2.2:GISEC Europe(サイバーセキュリティ)と各国パビリオン
- Hall 4.2:GITEX North Star Europe(スタートアップ500社超・投資家マッチング)
併催イベントは4つ。AI Everything Germany/GISEC Europe/GITEX Quantum Expo/GITEX North Star Europe。

2. スポンサー階層が示す「本当の力関係」
公式サイトのスポンサー欄はロゴ画像のみで、テキストの一覧が取れない。以下は会場入口の大型バナーを撮影して起こした全リストである。展示会において、スポンサー階層は「誰がこの場に最も投資したか」を示す最も正直な指標になる。
| 階層 | 企業・団体 |
|---|---|
| PLATINUM | AWS |
| STRATEGIC PARTNERS | Berlin Partner / European Innovation Council(欧州委員会) |
| SILVER | DeepL / ManageEngine |
| DIGITAL ECONOMY PARTNER | Dubai Chamber Digital |
| DIGITAL SOVEREIGNTY SUPPORTING PARTNER | Red Hat |
| AI SUPPORTING | Everest / Salesforce |
| DATA INDUSTRY | TiDB(PingCAP) |
| CISO LOUNGE / GISEC | TrendAI(Trend Micro)/ Torq |
| BRONZE / COUNTRY DISCOVERY | Giotto.ai / GÜRİŞ / Invest in Türkiye |
| BUSINESS LOUNGE / WORKSHOP | BOSCH / Google / エストニア e-Residency |
| SME / INNOVATION | bitmi(独中小IT連合会)/ Infobalt(リトアニア) |
ここから読めることが3つある。
① 最上位スポンサーは米AWS。 欧州の主権が主題の場に、米ハイパースケーラーが最大の枠で参加している。これは「欧州か米国か」という二者択一ではなく、グローバル事業者が欧州の要件に正面から合わせにきているという構図だ。市場としての本気度がうかがえる。
② 「Digital Sovereignty Supporting Partner」という階層が実在する。 Red Hatがこの枠を取得している。つまり主権は、スポンサーメニューの一項目として商品化されている。
③ 政府・準公的機関がスポンサー階層に混在している。 Berlin Partner(ベルリン州の経済振興機関)、欧州委員会のEIC、Invest in Türkiye、エストニアe-Residency。民間の展示会というより、投資誘致と政策の場としての性格が強い。


3. 主権クラウド——今回いちばん厚かった層
会場で最も面積を占めていたテーマがこれだ。看板のコピーを並べるだけで傾向がわかる。

A1 Digital + Exoscale(墺/スイス)のコピーは「Make Cloud Local Again!」。オーストリア・テレコム系で、EUROPEAN SOVEREIGN CLOUDを正面に掲げていた。このコピーが商業的に成立する市場だという事実が、今回の空気を要約している。

主催者提供の背景資料で、IONOS最高製品責任者 Dr. Andreas Nauerz が主権の定義を明確に述べている。
主権はデータセンターの物理的所在地だけでなく、プロバイダーの所有者が誰か、本社がどこにあるかによって決まる。主権はGDPR適合を超える。クラウドスタック全体に対する技術的コントロール、オープンスタンダード、真の相互運用性が必要だ。
これは日本企業にとって重要な指摘だ。「欧州リージョンに置いています」だけでは答えになっていない、ということである。

そして最も象徴的だったのがこれだ。

インド系の受託開発会社が、壁一面に「DATA SOVEREIGNTY MATTERS」(Data Sovereignty/Residency/Security/Control/Trust)を掲げていた。クラウドベンダーではなく受託開発会社が主権を第一訴求にしている。流行語ではなく受注条件になっている、という何よりの証拠だ。
ほかに Nextcloud(独/Deutsche Telekomと併記)、Zadara(米/「SOVEREIGN CLOUD. MULTI-TENANT. ANY AI.」)、Cubbit(伊)、EmpowerGPT(「model-agnostisch, EU gehostet」)、FutuGen(チェコ/「AI that runs at your place, under your control」)。
4. 規制の名前が、そのまま製品の見出しになっている
GISEC Europe(Hall 2.2)で顕著だったのは、EU AI Act・NIS2・DORA・GDPR が製品の見出しに直接入っていることだ。


機能を並べるのではなく、規制に適合しているかどうかが第一メッセージになっている。日本のセキュリティ製品のLPとは訴求の順序が明確に違う。

HackedList.ioのデモは、実在企業の被害件数を画面に出すという見せ方だった。抽象的な脅威の説明より圧倒的に伝わる。マーケティング施策として学ぶところが多い。


集客施策として今回もっとも成功していたのはNinjaOneだ。エントランスロビーにF1のショーカーを置き、会場に入る全員が必ず通る場所を確保していた。ブースの面積ではなく導線の位置で勝つ、という発想である。
5. ディープテック・量子——EUが自らブースを構える

日本の感覚だと違和感があるかもしれないが、欧州委員会の直轄機関が「出展者」として大型ブースを構えている。政府系機関が投資家や後援者としてではなく、前面に出て自国・自域の企業を売り込む。これが欧州流だった。

同区画には VSORA(仏・AI推論チップ)、VoxelSensors(ベルギー・XR向け知覚センサ)、Innatera(蘭・ニューロモルフィック半導体)、CLASSIQ(イスラエル・量子ソフトウェア)、Alias Robotics(西・「Sovereign AI for Cyber Operations」)が並んでいた。ドイツ側は Quantum BW、Berlin Quantum が州のクラスターとして独立出展している。
6. 「エージェント」がインフラ側の語彙になった

アプリケーション層だけでなく、データベースやインフラの訴求文にエージェントが入り込んでいる。TiDBの「The Database Built for Agentic AI」、Salesforceの「Agentic Enterprise」、Alteryxの「Get your data ready for anything」。
主催者資料に収録された Perplexity 事業担当VP Ryan Foutty の発言が、この流れを端的に説明している。
検索エンジンを「アンサーエンジン」に変えようとしたとき、それは極めて不人気だった。アンサーエンジンの次の自然な進化は「アクションエンジン」——エージェントが本人に代わって実際の仕事をこなすインターフェースだ。


なお、欧州の主権論は特定地域を締め出す発想ではなく、選択肢と交渉力を増やす方向で運用されている。米・欧・中の事業者が同じ会場に並ぶ顔ぶれが、それを端的に示していた。
7. 国パビリオン29——そして日本は2026年が「初」だった
このイベントの構造上の最大の特徴は、国・地域単位の投資誘致パビリオンの多さにある。当社が現地で確認できただけで29の国・地域/機関があった。
EU(欧州委員会EIC)/ドイツ(連邦経済省・KfW・NRW・Quantum BW/Start-up BW・Region Stuttgart・startuphub.SH・ベルリン/ブランデンブルク)/オーストリア/イタリア/ポーランド/ルーマニア/チェコ/リトアニア/スロベニア/セルビア/ボスニア/ウクライナ/モルドバ/オランダ/英国/日本/トルコ/アルメニア/モロッコ/UAE/パキスタン/インド/カナダ/米国/エルサルバドル。


29の国館を並べて見ると、伝わる館と伝わらない館の差は面積ではなく「主張が1つに絞れているか」だった。
- リトアニア「REAL-TIME ECONOMY ICEBREAKERS」
- ポーランド「Poland. Business Forward.」
- ルーマニア「Creative Talent. Technical Excellence.」
いずれも1フレーズで国の立ち位置を言い切っている。ai.berlinは、外国籍比率・企業数・売上・B2B比率という4指標だけで構造を説明し、感情的な形容詞をひとつも使っていない。一方、扱う技術分野を網羅的に並べた館は、情報量では勝るものの足を止めさせる力は弱かった。絞ったほうが強いという原則がそのまま出ている。
この型はそのまま企業のLP構成にも使える。「①1フレーズのポジショニング ②検証可能な4指標 ③個社・詳細は奥に配置」。
日本は初のナショナルパビリオンだった

主催者プレスリリースは「オーストリア、カナダ、ギリシャ、日本による初のナショナル・テックパビリオン」と明記している。会場では東京都の「SusHi Tech Tokyo」および「Tokyo Innovation Base(TiB)」が緑カーペットの区画を構え、17m離れた場所へのワイヤレス給電「AirPlug」などを展示していた。
実務上の要点は、出展主体が国(JETRO)ではなく東京都だという点だ。日本企業がこの枠を使いたい場合、当たる先が変わる。
8. スタートアップ区画の設計思想

Hall 4.2の各ブース看板には、例外なく「①分野 ②資金調達ステージ ③国」が並記されていた。
[分野] ARTIFICIAL INTELLIGENCE / CYBERSECURITY / SMART CITIES・IOT /
SAAS / HR TECH / PROPTECH / HEALTHTECH / ADTECH・MARTECH /
REGULATORY TECHNOLOGY / SOCIAL IMPACT / CLOUD SERVICES
[ステージ] BOOTSTRAPPING / PRE-SEED / SEED-EARLY / SERIES A / SERIES C AND BEYOND
[国] GERMANY / FRANCE / UNITED KINGDOM / INDIA / CANADA / UKRAINE ...
投資家が歩きながら分野×ステージ×国でスクリーニングできる。600名超の投資家を集めるイベントとして極めて合理的な設計で、日本の展示会にはあまりない発想だ。
もうひとつ印象的だったのは、商談テーブルに展示ブースと同等の面積を割いていることだった。立ち話ではなく、座って話す前提で設計されている。
9. 数字で見る欧州AIの現実
主催者提供資料に収録された、Strand Partners『Unlocking Europe’s AI Potential 2026』(AWS委託の独立調査)の数値。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 正式なAI戦略を持つ欧州企業 | 31% |
| 高度なユースケースでAIを活用している企業 | 22% |
| テック予算に占めるコンプライアンス費用 | 42%(前年40%) |
| EU域内の分断がスケールの障壁と回答 | 41% |
| AI・デジタル人材不足が導入を妨げていると回答 | 50%超 |
| スケールのため国外移転を検討しうる革新的スタートアップ | 38% |
| IMF試算:域内市場の分断がイノベーションに課す負荷 | 関税110%相当 |
AWS EMEA AI政策責任者 Sasha Rubel は、欧州最大のボトルネックを規制の複雑さだとし、「他のあらゆる野心に課税している」と表現している。
注目したいのは、課題を自ら数字で開示したうえで投資と人材を呼び込みにきているという姿勢だ。「Choose Europe」は、これから選ばれにいくという宣言として読むのが正確だろう。
10. 実際に歩いて分かった、このイベントの活かし方
2日間の使い方で得られるものが大きく変わる。現地を歩いて実感した点を4つ挙げる。
① 規模ではなく密度が価値。
2日間・3ホールで80か国・950社。欧州市場にアクセスするには最も効率のよい形で、渡航・滞在のコストを考えると費用対効果が高い。目的を絞れば1日で主要どころを回りきれる。
② 大手と新興が同じ通路に並ぶ。
AWS・Arctic Wolf・NinjaOneの大型ブースの隣に、机1台の規格小間が並ぶ。企業規模に関係なく同列に見える設計で、無名の有望企業を発掘するには非常に向いている。関心領域が決まっているなら、事前に出展社リストでブースを特定しておくとさらに効率がよい。
③ 事前アポを埋めた人ほど成果が出る。
投資家パスやマッチングプログラムが整備されており、事前アポを埋めておけば1日20件近い商談が可能だ。会う相手を先に決めて臨む設計になっている。
④ 規模の数字は最新版で確認する。
主催者のプレスキットは準備期間を通じて上方修正されている。出展判断に使う場合は、最新版の一次資料に当たるのが確実だ。
11. 日本企業への示唆
① 欧州に売るなら、機能比較の前に4語に答える
会場で繰り返し前面に出ていたのは EU AI Act / NIS2 / DORA / GDPR。そしてIONOSの指摘のとおり、主権の判定はサーバの場所ではなく「誰が所有し、本社がどこにあるか」に移っている。欧州顧客に向き合うなら、次の3点を1枚で出せるかが商談の入口になる。
- データのホスティング地域と、運営法人の所在法域(=どの国の法律に服するか)
- EU AI Act/NIS2/GDPR(金融ならDORA)への準拠状況
- ロックインの有無=オープンスタンダードと相互運用性
② 出展形態は3層構造。中間が存在しない
| 層 | 実例 | 特徴 |
|---|---|---|
| ① 単独大型ブース | AWS/Arctic Wolf/NinjaOne | 面積と体験装置で導線を作る。数千万円規模。認知獲得型 |
| ② 国・地域パビリオン内 | ITALIA(ITA)/Türkiye商務省/SusHi Tech Tokyo | 費用を圧縮しつつ、事前マッチング・メディア露出・政府系ネットワークが付く。中小の現実解 |
| ③ 規格小間(単独) | North Starの机1台+パネル1枚 | 最も低コストで出せる。事前アポを埋めておけば十分に機能する |
①と③の中間が存在しない。②の枠が取れなければ実質③しか選べない。海外展示会への出展を検討するなら、まず自治体・JETRO等の共同出展枠の募集条件を当たるのが合理的だ。
③ 欧州のAI実装は助走段階=参入余地でもある
正式なAI戦略を持つ企業が31%、高度なユースケースで使えているのが22%、予算の42%がコンプライアンスに向いている。これは裏を返せば、欧州市場にAI実装の実務支援という大きな空白があるということだ。最先端モデルで競うのではなく、「実装・運用・現場定着」で入る余地がある、と読むのが妥当だろう。
12. よくある質問(FAQ)
Q1. GITEX AI EUROPEとGITEX GLOBAL(ドバイ)の違いは?
性格が異なる。GITEX GLOBALはドバイで5日間開催される世界最大級のIT見本市で、こちらは網羅性が強み。GITEX AI EUROPEはその欧州版として2025年に始まった2日間のイベントで、欧州市場に特化した商談とスタートアップ・投資家マッチングに絞り込まれている。2026年の出展は950社。目的が欧州市場なら、こちらのほうが密度は高い。
Q2. 2027年の開催予定は?
本記事執筆時点(2026年8月)で、GITEX AI EUROPEの2027年日程は公式に確定告知されていない。会場では系列イベントの日程が掲示されており、GITEX GLOBAL(2026年12月7〜11日/ドバイ)、GITEX AI LATAM(2027年3月16〜17日/サンパウロ)、GITEX AI INDIA(2027年6月2〜4日/ベンガルール)が確認できた。
Q3. どのパスを買うべきか?
現地で確認できたパスは12区分。展示フロアを見るだけなら来場者パスで足りるが、カンファレンスのセッションを聴くなら会議パスが必要という一般的な構成になっている。投資家パス・デリゲートパスは別枠。報道関係者はMEDIA登録(媒体審査あり)。
Q4. 英語だけで問題ないか?
問題ない。掲示・セッションは基本的に英語。ドイツ企業のブースでは独語併記も見られたが、80か国以上から集まるため英語が共通言語になっている。
Q5. 商談目的なら何を準備すべきか?
事前マッチングの登録が最重要。b2matchなどのマッチングプラットフォームやEnterprise Europe Networkを通じたミーティング設定が用意されている。2日間・3ホールという規模は、事前アポを埋めておけば1日で20件近い商談が可能な密度だ。逆に何も準備せず歩くと名刺交換で終わる。
Q6. サイバーセキュリティ目的なら価値はあるか?
GISEC EuropeがHall 2.2にまとまっており、Arctic Wolf・Torq・NinjaOne・TrendAIなど主要ベンダーが揃っていた。CISO Lounge(招待制)とCISO Meetings Programも設定されている。欧州のセキュリティ調達動向、特にNIS2・DORA対応の実装レベルを把握する目的では密度が高い。
13. まとめ
GITEX AI EUROPE 2026は、「欧州が自前のAI・クラウド基盤を持てるか」という一点をめぐる展示会だった。80か国・950社・投資家600名(運用資産1兆ドル超)が2日間・3ホールに集まる。「欧州市場に売る」「欧州から調達する」「欧州のスタートアップに投資する」という目的で行くなら、これ以上ない密度だ。
そして最も持ち帰る価値があったのは、「デジタル主権」が政策の言葉から購買条件に変わった瞬間を、看板のコピーとして確認できたことである。EU AI Act・NIS2・DORA・GDPRという4語が、製品の見出しに直接入る。データの置き場所ではなく、運営法人の所在法域が問われる。この変化は、欧州市場に関わるすべての日本企業に効いてくる。
一方で、欧州のAI活用そのものはまだ伸びしろの大きい段階にある。最先端モデルで競うのではなく、実装・運用・現場定着という領域で日本企業が入る余地は十分にある。次回の開催も、現地で確かめる価値のあるイベントになるはずだ。
LIFRELLへの相談
海外テックカンファレンスの現地取材・出展判断のための事前調査、欧州向けサービスのポジショニング設計、EU AI Act・NIS2を前提としたコンテンツ/LP設計まで、現場マーケター視点でサポートします。本記事のように、現地で一次情報を取得したうえでのレポート作成も承っています。
*本記事の情報は2026年8月時点のものです。開催概要・出展社構成・次回開催日程は変更される場合があります。本記事の社名・ブース番号・掲示内容は、LIF Tech編集部が2026年6月30日に現地で撮影した写真(234点)から直接確認したものです。イベント規模・登壇者・調査数値は、主催者から報道関係者として提供を受けたプレス資料(2026年6月10日付・6月16日付ほか)に基づきます。最新情報はGITEX AI EUROPE公式サイト(https://www.gitexeurope.com/)でご確認ください。*
