2026年、テクノロジーの進化は「予測」の段階を終え、実社会への「実装」という最も残酷でエキサイティングなフェーズへ突入した。LIF Tech編集部が「TOKYO DIGICONX 2026」に乗り込んだ理由はただ一つ——AIによって情報の価値が均質化する中で、競合を圧倒する”勝機”がどこに埋まっているかを見極めるためだ。
最新デバイスの普及が秒読みに入り、産業メタバースが概念から実働へと移行する2026年という転換点。日本企業、そしてクリエイターは、世界に対してどんな「独自の武器」を提示できるのか。

期待と冷徹な批評眼を携えて入った会場を待っていたのは、単なる技術展示ではなかった。古代の記憶(縄文)と最先端の都市データ(PLATEAU)、そして「身体性」という、AIには代替不可能なエネルギーの衝突——その現場だった。

小池都知事よりビデオメッセージ
1. 「スマートフォンの次」が届く年——2026年は大きな節目になる
一般社団法人Metaverse Japan 代表理事・間淵邦義:今、XR・メタバースの領域はAIの進展によって世界規模で変容しています。ライフサイエンスからビジネスまであらゆる分野が節目を迎えていますが、特に期待しているのは「新しいデバイス」の登場です。

「スマートフォンの次」になるようなデバイスが、今年皆さんの元に届くかもしれない。それによって市場は爆発的に拡大するでしょう。この展示会を通じて東京から世界へ仕掛け、日本企業のプレゼンスを上げていきたい。単なる技術展示ではなく、新しい「コミュニティ」と「価値」を広げていく活動をここから加速させます。
2. 「AI時代だからこそ、人間が集まる」——せきぐちあいみの提言
XRアーティスト・せきぐちあいみ:今回、サウジアラビアでの大きな案件を断って、このTOKYO DIGICONXに駆けつけました。こちらを優先すべきだと判断したからです。
AIの発展を誰もが肌で感じている今、机の前やオフィスだけで完結するものの価値がどんどん揺らいでいる。だからこそ、人間が一堂に会するイベントに価値がある。現場の摩擦からこそ、新しい化学反応や共創が生まれます。
この3日間が、皆さんにとっても新しい未来を切り拓く実りある日になると確信しています。
3. 「デジタルの血肉化」——身体性とエネルギーの表現
せきぐち:テクノロジーだけでは人の心を揺り動かせない。だからこそ、デジタルの中にどうやって「人間の根源的なエネルギー」を込めるか、血を通わせるかを自分に問い続けています。

今回のライブパフォーマンスでは、コントローラーを使わず手と身体の動きだけで絵を描きます。VJの河野円さんとコラボし、古代の「縄文土器」のデータと、最新の3D都市モデル「PLATEAU」のデータを掛け合わせました。
「本質的な大事な部分」と「最新テクノロジー」——この両極端を組み合わせることが、アートにもビジネスにも未来を切り拓く鍵になる。テクノロジーに振り回されるのではなく、使いこなして新しい世界を見せる。そんな表現に挑戦しました。
4. 縄文×PLATEAU——東京でしか生まれない「歴史の上に乗るXR」
imgee / サイバー南無南無代表・河野円:せきぐちさんから最初に「土器とXRでコラボしたい」と言われた時は、正直驚きました(笑)。あんなにXRから遠い、有機的な存在をどう混ぜるのかと。
しかし今日のステージで、土器の形と国土交通省「PLATEAU」による東京23区の都市データが混ざり合った瞬間、強烈な生命力が宿るのを肌で感じました。日本には長い歴史がある。その分厚い歴史の上に乗ってXRをやる——これは、この東京という場所だからこそできる独自の表現です。後ろで見ていて、本当に鳥肌が立ちました。
せきぐち:デジタルのアートですが、今ここで皆さんと「同じ空気」の中で体験できたことが何より嬉しい。この現場の熱量こそが、新しいインスピレーションを生むのだと思います。

5. 3日間の熱狂の先へ
滝川(MC):初日・2日目がビジネスデー、最終日がパブリックデーです。「光のステージ」「風のステージ」の2会場でピッチイベントやライブが目白押し。会場各所にはサンドボックス型の最新体験ブースも用意されています。
せきぐち:この3日間は新しい刺激に溢れた「実り」の場になります。皆さん、一緒にこの熱狂を楽しみましょう!
編集後記
せきぐち氏の言葉には、情報の流動性が極まった今だからこそ「場所の持つ力」が重要だというメッセージが宿っている。AIが瞬時に最適解を出す時代に、あえて不自由な「身体」を使い、歴史の重み(土器)と先端データ(PLATEAU)を衝突させる。その非効率な摩擦の中にこそ、ビジネスに必要な「独自性(エッジ)」が宿る。
間淵氏が語った「ポスト・スマホデバイス」の足音が聞こえる2026年。我々が手にするのは単なる便利な道具ではない。物理空間とデジタル空間の境界を破壊し、ビジネスの戦場を根本から変える「拡張された身体」だ。TOKYO DIGICONXの会場に溢れるのは製品ではなく、未来を自分たちの手で作り変えようとする人々の意志だ。LIF Techも、この3日間でその最先端を捉え、読者へ届けていく。
(執筆:LIF Tech編集部)

