Paseoは、Claude CodeやCodexなどのエージェントを、作業フォルダー・ファイル・差分とまとめて扱う開発環境だ。チャットのたびに資料の場所を説明し直すより、「何の仕事を、どのフォルダーで進めるか」を先に決める使い方に向く。
例えば、動画1本の文字起こし、タイトル案、サムネイル指示、概要欄を同じ場所で管理する。担当するAIを変えても、入力と成果物の保存先を共通にすれば、人が確認すべきものを見失いにくい。この記事では導入から最初の制作タスクまでを扱う。
Paseoで何ができるか
| 項目 | 役割 | 導入時の確認 |
|---|---|---|
| Paseo本体 | 作業環境とエージェントの管理 | 公式配布版を使う |
| プロバイダー | 実際に処理するClaude Codeなど | 対応CLIのインストールと認証が別途必要 |
| プロジェクト | リポジトリや作業ディレクトリ | 顧客ごと・媒体ごとに分ける |
| ワークスペース | タスクを進める場所 | 入力と出力の範囲を指定する |
| セッション | その作業内のエージェントとのやり取り | 同じファイルの同時変更を避ける |
PaseoはAIモデルそのものを無料で提供するサービスではない。OSSの本体と、利用するAIの契約・API費用を分けて考える。構成は公式のProviders説明、作業単位はWorkspaces説明で確認できる。
導入から最初の依頼までの6ステップ
- 使うAIを1つ決める。対応するCLIが単独で起動し、手元のアカウントで応答することを先に確認する。
- 公式のDesktop版を入れる。Paseoの配布ページからOSに合うものを選ぶ。Desktop版にはdaemonが含まれるため、最初から別サーバーを構築する必要はない。
- 試作用フォルダーを作る。顧客資料を使う前に、公開可能な短い原稿をinputへ置く。ホームフォルダー全体は作業対象にしない。
- そのフォルダーをプロジェクトにする。案件名に加えて用途が分かる名称にする。例は「動画制作・公開前確認」だ。
- ワークスペース内でAIを選んで依頼する。最初は読むだけの依頼にして、参照したファイル名を回答させる。
- 出力ファイルと変更を確認する。指定したoutputだけに成果物があり、inputが変わっていないことを確認してから次の作業へ進む。
導入部分の根拠は公式Getting started。以下のフォルダー構成と依頼文は、編集部による制作業務向けの設計例である。
video-project/
input/
transcript.txt
brief.txt
output/
title-candidates.md
description-draft.md
review-notes.md
動画1本を進める6つの依頼例
1. 入力確認
input内のファイル名と各ファイルの用途を一覧にする。読むだけにして、ファイルの変更・外部送信は行わない。不足している素材を最後に挙げる。
2. タイトル案
input/transcript.txtとbrief.txtを読み、内容に対応する日本語タイトルを6案作る。各案に根拠となる発言の時刻を添え、動画にない成果や数値は追加しない。output/title-candidates.mdに保存する。
3. 概要欄
タイトル案と文字起こしから概要欄の下書きを作る。要点、視聴対象者、章立て候補、要確認のリンクを分ける。未確認URLは生成しない。output/description-draft.mdに保存する。
4. サムネイル指示
選んだタイトル案に対して、サムネイルの文字案を3案作る。各案は日本語12文字程度を目安にし、強調したい語と削ってよい語を分ける。画像生成や公開は行わない。
5. 別視点の点検
outputの原稿をinputと照合し、誇張、根拠のない数値、タイトルと内容の不一致を指摘する。修正はせずoutput/review-notes.mdに記録する。
6. 引き継ぎ
今回の入力、採用案、不採用理由、未確認事項、次の作業を1ページにまとめる。別の担当者が続けられるよう、ファイル名を省略しない。
ターミナルでは動くのにPaseoで見つからない場合
Settings → 対象host → Providers → Diagnosticで、Resolved path、Daemon PATH、Versionを確認する。CLIが見つからない場合と、見つかるが認証できない場合を分ける。前者は実行パス、後者はプロバイダー側の認証状態を確認する。公式トラブルシューティングには起動環境の違いが説明されている。
| 症状 | 最初に見る場所 | 次の判断 |
|---|---|---|
| Not installed | DiagnosticのResolved path | 新しいターミナルでCLIが動くか |
| 別の資料を読む | ワークスペースの作業ディレクトリ | 対象フォルダーを明示し直す |
| 複数AIの出力が衝突 | 各依頼の出力先 | 作成担当とレビュー担当を分ける |
| スマホで作業が見えない | 接続しているhost | PCと同じhostか確認する |
単独CLI・Paseo・専用チャットの選び方
| 方法 | 向く作業 | 自分で決めること |
|---|---|---|
| 単独のCLI | 1つのフォルダーで短い修正 | 入力・出力・権限 |
| Paseo | 資料や差分を見ながら複数タスクを扱う | ワークスペースと役割分担 |
| AIサービスのチャット | 文章相談や添付資料の整理 | 会話ごとの文脈と保存先 |
よくある質問
Paseoだけ入れればAIを使える?
対応するプロバイダーCLIを別途用意し、認証する必要がある。
すべてローカルで完結する?
エージェントは自分のマシンで動くが、モデルへの問い合わせ先はプロバイダー次第だ。クラウドAIを使えばそのサービスへの送信が発生する。
最初から複数AIが必要?
不要。1つで入力確認から成果物保存まで通してから、レビュー役などを追加する。
非エンジニアにも使える?
記事や動画の原稿管理にも応用できるが、CLIやフォルダーの扱いは必要になる。最初は小さい試作用フォルダーがよい。
自作UIが必須?
標準画面で始められる。繰り返す作業が決まってからプラグインを検討すればよい。
次に進む:Bots・スマホ接続・自作パネル
基本操作ができたら、目的に合わせて機能を追加する。繰り返し担当するAIを作るならPaseo Botsの設定と記憶・ルーチンの使い方、外出先で確認するならスマホからのTailscale接続手順を参照。
毎回の確認項目を画面にまとめる場合は、Paseoプラグインの作り方と仕様テンプレートへ進む。各記事は前提と完了条件を分けているため、すべてを同時に導入する必要はない。
小さく始めて運用に移す
- 今日:公開可能な短い原稿で、入力確認だけを実行する。
- 今週:タイトル案からレビューまでを1件通し、手戻りの原因を残す。
- 来月:繰り返す工程だけをテンプレート化する。
関連する使い方
Claude Codeの基礎 / Claude Codeの導入 / AIを使う動画制作
LIFRELLへの相談
複数のAIを使った原稿制作、レビュー、成果物管理の流れを、担当者が引き継げる形に整理する。
公式資料と確認日
企画の参考:monograph「【続】僕達のAIの使い方、全部見せます。」。本記事の設定例・プロンプト・確認表はLIF Tech編集部が独自に構成した。出演者の実践結果を本記事の検証結果として扱っていない。
公式情報の確認日:2026年10月31日。実機での導入・生成・性能測定は本記事では未実施。手順は公式資料に基づき、作例は実施用の設計例として掲載している。画面、料金、利用条件は変更される場合がある。
